未払い残業代…労働基準監督署の調査と民事裁判との関係(その2)


こんにちは。「労働基準監督署・調査対策対応支援.com」の
加賀英治です。

今回は、前回アップした続きを
書いてみたいと思います。

前回においては、労働基準監督署の調査が入って、
そのとおりに是正して、しかも未払い残業代の遡り支払いを
行ったとしても後日、民事で請求されることがあり得る
ことをお伝えいたしました。

前回の記事はこちらをご覧ください。↓
未払い残業代…労働基準監督署の調査と民事裁判との関係(その1)

今回は、前回の記事を受けて次のことを考えて
みたいと思います。

・民事裁判となったときのリスクにはどんなものがあるのか?
・会社はどのように対策を打てばよいのか?

このようなことををメインにお伝えしたいと思います。

今回は、民事裁判となったときのリスクに
ついてのみ記載してみたいと思います。

それでは、早速書いていきたいと思います。

●民事裁判で未払い残業代を請求された場合に
 どんなリスクがあるのか?

未払い残業代を民事裁判で請求された場合に一番怖い
ことは恐らく次の2点です。

・消滅時効MAX2年まで過去遡及して
 請求されることが多いこと。

・裁判所によって付加金の決定が
 なされる恐れがあること。

それでは、一つ一つ御説明していきます。

[消滅時効MAX2年まで過去遡及して請求されるとは?]

これは、労働基準法で定められている賃金請求権が
消滅する時効の期限が2年と定められている
ことによります。

それでは、念のため、条文を見てみましょう。

労働基準法第115条

「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、
災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定
による退職手当の請求権は5年間行わない場合
においては、時効によって消滅する。

先回もこの点に触れましたが、
労働者が残業代の支払いを求める場合には、
どう考えても、入社日まで、あるいはMAX過去2年分未払い賃金
を確保したいと思うのが普通でしょう。

それで、この点はまずMAXでの遡及支払いはほぼ間違いない
事態であるとお考えください。

つまり、労働基準監督署の調査では、必ずしも
MAXまで遡及するとは限りませんが、労働者から民事で請求
があった場合には、ほぼ消滅時効2年などMAXでの支払いが
求められるということです。

[付加金とは何か?]

付加金とは何でしょうか?
実はこの付加金ですが、簡単に言うと「倍返し」
いうことです。

実際に条文をみてみましょう。

労働基準法第114条

裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した
使用者又は第39条第7項の規定による賃金を
支払わなかった使用者に対して、

労働者の請求により
これらの規定により使用者が支払わ
なければならない金額についての未払金のほかこれと
同一額の付加金の支払いを命ずることができる。

ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内に
しなければならない。」

それでは、解説を加えてみたいと思います。

まず、趣旨を申し上げますが、
労働基準法の一定の条文に違反した場合については、
同一額の付加金を支払えということですね。

例えば未払い残業代が過去2年遡及して50万円だった
とするとさらに+50万円で、合計100万円の支払いが、
裁判所によって命ぜられるということです。

(厳密にいえばこの額に対して、遅延損害金も加えて
求められることになります。年5%。)

ちょっと前後しましたが、一定の条文に違反した場合とは
どんな場合なのでしょうか?

第20条…解雇予告(手当)
第26条…休業手当
第37条…割増賃金
第39条…年次有給休暇

これらの条文に対して違反行為があったとき
に倍返しさせることができるということです。

この中で番ありえそうなのが、例えでも示した通り
割増賃金(未払い残業代)ということに
なると思います。

それで、実際に民事裁判となった場合には、
付加金について労働者が訴状に記載して請求しなければなりません。

これも大抵訴状に付加金の請求という文章が
載ってくると考えて良いと思います。

しかしながら、決定は飽くまで裁判所となるので、
付加金請求が全額認められるかというと
そうではありません。

実際には、裁判所が未払いの事情を勘案して、
付加金の全額ではなく一部のみ認めたり、
また全く認められないこともあるのです。

いずれにしても民事裁判となった場合
には、このようなリスクが生じることは
肝に銘じたい点です。

さらに考慮しておかなければならない点は
遅延損害金です。

一般的には、使用者が営利企業などの商人の場合には、
年6%となります。

退職後については、民法ではなく、「賃金の支払いの確保等
に関する法律」で定められています。

そこにはこのように書かれています。

第6条(遅延利息)

「事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当
を除く。以下この条において同じ。)の全部または一部を
その退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金に
あっては、当該支払期日。以下この条において同じ。)

までに支払わなかった場合には、当該労働者に対し、
当該退職の日の翌日からその支払いをする日までの期間
ついて、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ
支払われていない賃金の額に年14.6%を超えない範囲内で

政令で定める率を乗じて得た額を遅延利息として支払わなければ
ならない。

これによれば、退職後年14.6%の遅延利息をつけなければ
なりません。

民事訴訟では、相手方はしっかり遅延利息も請求して
きます。

以上、民事裁判となるといろいろと金銭の請求が
なされてしまうことがお分かりかと思います。

それでは、今回は一旦ここまでとさせて
いただきます。

次回は、いよいよ具体的な解決方法に
ついて考えてみたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です