付加金…懲罰的損害賠償制度?


こんにちは。「労働基準監督署・調査対策対応支援.com」の
加賀英治です。

今回は、付加金という制度についてご紹介したいと
思います。

(なお、先回のブログをご覧の方は、内容がかなり
重複するので、ご興味のある方のみ
ご覧ください。)

経営者の皆さまにとって
付加金って何?ということかと思います。

まさか、労働基準監督署がお金をくれるということでは
ないことは、お分かりかと思います。

実は、労働基準法に書かれている条文なのですが、
労働基準監督署は関係のない条文です。

それで、ブログの趣旨である、労働基準監督署の調査
の対策目的からは外れるのですが、折角条文に書かれています
し、また、民事裁判までいくと関係のあること
ですから、今回はご容赦いただければと思います。

付加金を簡単に言うと(いえ、かえって難しく言うことに
なるかもしれませんが…)

懲罰的損害賠償的制度

と言ってよいと思います。

それで、やはり懲罰的損害賠償って何?
ということかと思います。

では、まず損害賠償とはどういうものか
見てみましょう。

通常、損害賠償とは、相手方が依頼した仕事をしなかった
とか、ミスしたときに被った損害の相当額を
支払ってもらうことができるという制度です。

そして、実損害以上のものを賠償してもらうことは
できないいうことになっています。

つまり、簡単にいえば100%の賠償です。
(当然と言えば当然ですが…)

これが日本における損害賠償制度
ということになります。

うってかわって、アメリカなどでは、損害を与えた
内容が極めて悪質であるような場合には、通常の損害賠償
に加えて、裁判所の命令によってさらに上乗せして
懲罰的損害賠償」を課すことがあります。

日本において、民法の条文で懲罰的民事損害賠償の
条文を見ることはありません。

しかし、実はこの懲罰的損害賠償的な制度が
労働基準法にあるということです。

付加金です。

それでは、条文を見てみましょう。

労働基準法第114条

「裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した
使用者又は第39条第7項の規定による賃金を
支払わなかった使用者に対して、

労働者の請求により、
これらの規定により使用者が支払わ
なければならない金額についての未払金のほか、これと
同一額の付加金の支払いを命ずることができる。

ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内に
しなければならない。」

解説してみましょう。

労働基準法において、一定の条文に違反して賃金
を支払わなかった場合には、未払賃金と同一額の付加金
支払わなければならないということです。

つまり、例えて言うなら以下のようになります。

簡単な例えで恐縮ですが…
未払い残業代が過去1年間で合計50万円あった場合

50万円(未払賃金)+50万円(付加金)=100万円

以上、100万円を会社は支払わなければならない
ということです。

(厳密にいえば、さらに遅延損害金として年5%も加えて
求められます。)

いわゆる倍返しですね。

確かに日本の損害賠償の性質からすると
おかしい話ということになります。

それで、この付加金という制度は
結構特殊な規定といえるわけですね。

なんでこんな規定が出来たのかは、やはり
労働者保護という視点で考えるとすんなり納得
できると思います。

先ほど、労働基準法のある一定の条文に違反したとき
と申し上げました。

その内容がカギとなるわけです。

それでは、どんな条文に違反すると倍返し
させられる恐れがあるのでしょうか?

次の条文となります。

第20条…解雇予告(手当)
第26条…休業手当
第37条…割増賃金
第39条…年次有給休暇

この4つの条文に違反した場合となります。

これらの条文は全て賃金など労働者がもらうべき
金銭が関係していることがおわかりかと思います。

解雇予告は、手当が関係してくることがありますね。
つまり、解雇予告手当を支払わずに即日解雇したような場合です。

休業手当は、会社都合の休業にもかかわらず
会社が労働基準法で定められた平均賃金の6割以上の
手当をしなかった場合です。

割増賃金は言うまでもありませんね。
残業代が未払いということです。

年次有給休暇は、法律で定めたとおりに
付与していなかったり、不当に消化を拒んだりするときなど
に問題になります。

確かにこういった問題については、労働者の
不利益が大きいということです。

それで、悪質な法違反の場合には、
この付加金の支払いが求められるということです。

それでは、誰が請求して、誰が決定することになる
のでしょうか?

労働者が請求し、裁判所が決定する。
ということです。

この裁判所が決定するというところが独特ですね。
労働基準監督署ではないということです。

つまり、民事裁判において損害賠償を請求された
場合には、裁判官の裁量によって、支払う必要があるか
どうか決定するということです。

ですから、労働基準監督署の調査で是正して
終わればよいのですが、終わらない場合は大変
なことになる可能性があるということです。

しかし、裁判例では、全ての事案に
おいて付加金請求が認められるわけではない
ことが分かります。

つまり、法違反の悪質さの度合いによって、
全て請求どおりに認めたり一部を認めたり、
また全く認めないこともあるのです。

とはいえ、民事裁判となるとこのようなリスクも
生じるということは、覚えておいて損はありません。

確かに倍返しされるくらいなら、裁判外
で処理したいと思いますよね?

これによって、未払い賃金などは早めに解消して
置くべき動機づけとなると思います。

それでは、なるべく裁判にならないように
少なくとも労働基準監督署の調査に誠意をもって
臨みたいものです。

それではまた次回もご覧ください。

以下の記事もよろしければご覧ください。
未払い残業代・・・労働基準監督署の調査と民事裁判との関係②

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