36協定届の適切な作成方法(その1)


こんにちは。「労働基準監督署・調査対策対応支援.com
の加賀英治です。

さて、今回から
36協定届の適切な作成方法
について連載記事で書いていきたいと
思います。(全8記事

よろしくお付き合いください。

●36協定とは?

まず、経営者の方々には、次のようなお言葉を
発せられる方も多いと思います。

「36協定ってよく聞くけど、残業させられる
っていう協定だよね?」

まさにその通りです。
この点は、恐らく経営者の皆さまにも割と浸透している
のかと思います。

しかし、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届
というものです。

これを所轄の労働基準監督署届け出てはじめて効力が
生じるということになります。

では、どんな効力が生じるのか?
ということかと思います。

まず、労働時間についておさらいしてみたいと
思います。

そもそも法律で労働させられる限度時間って
何時間でしょうか?

労働基準法では、そもそも週40時間1日8時間までしか労働
させられません。(変形労働時間制等を除きます。)
そのことは、御存じかもしれませんね。

それで、それ以上残業させると法律違反で処罰される
ことになるのです。

しかし、当然のことながら業務上の都合により
法律の限度時間以上残業させなければならない事態
というのは多々生じることになるわけです。

それで、法律で企業活動をがんじがらめにしてしまう
ことは、弊害があるので次のようにしたのです。

労使で話し合って協定すれば、もともと処罰されるべき
法律違反ではあるけれども、処罰することは
免除しよう。」

これが、36協定の効力ということになります。
(「免罰効果」といいます。)

それでは、実際に36協定とはどんな書式なのでしょうか?
以下の書式が36協定の書式です。(クリックしてご覧ください。)

36協定届(様式第9号)

意外とあっさりしたものだとお感じでしょうか?

これは正式には様式第9号」というもので、ここに所定の事項を
記載します。

それで、最終的には所轄労働基準監督署に届出てはじめて
効力が生じることになります。

それでは以下、具体的な記入方法をお示ししましょう。
(是非、上記の36協定届の書式を見ながら、以下ご覧ください。)

●36協定届の具体的な記載方法

『事業の種類』

一番左上の欄ですが、ここには、例えば、建設業や製造業などと記載します。

まあ、当たり前といえば当たり前とお考え
かもしれませんね。

実は、この部分は、最近、労働基準法が改正されたことにより、
特に重要な意味を持つようになりました。

ざっくり言えば、業種によっては、法定時間外労働が
月60時間以上になったときに、割増賃金の率×1.5
となってしまうということです。

これは重大な問題となります!

この乗率が適用されるかどうかは、業種に応じた労働者の人数
と資本金に応じて変動してくるので、労働基準監督署は
しっかりチェックしてきます。

まずは、第一関門といったところでしょうか?

(今回の紙面では、詳細まで書けませんので、
次回以降とさせていただきます。)

かといって、嘘を書くわけにはいきませんので、
主たる業種をしっかりと書くようにしましょう。

それでは、右隣の欄に目を移しましょう。

『事業の名称』及び『事業の所在地』

これも特に問題ないと思うかもしれませんが、実は、これが
大いに問題になり得るのです。

これによって影響を受けるのは次の事項です。

労働者の過半数代表者が適正に選出されていない。
よって36協定は無効である。

なんでこんなことになり得るのでしょうか?

これは、36協定を適用させる単位が企業単位なのか?
各事業場(各支店、工場など)単位なのか?
ということが混乱してしまうことにあります。

要するにどちらを単位にするかで、労働者の過半数代表者が
適切に選出されないことがあるわけですね。

それでは、労働基準法の適用単位って何?
という問いから答えなければならなくなるわけです。

労働基準法(36協定)が適用される単位ってなんでしょうか?
これは、企業単位ではなく、事業場単位が原則ということです。

といっても分かりにくいので、以下に例を示して考えてみましょう。

すなわち、東京本社大阪支店福岡支店と3つの事業場
がある場合には、原則としてそれらの一つずつが
適用単位となるということです。

これだけでは分かりづらいと思うので、もっと
突っ込んでみます。

もし企業単位ということであれば、本社所轄の
労働基準監督署に届出をすれば済むのですが、
事業場単位なので、それではだめだということです。

例えば東京本社が港区に所在していれば、三田労働基準
監督署に36協定を本社分として出します。

大阪支店でも所轄労働基準監督署に一通出します。
(例えば、大阪中央労働基準監督署管内
に所在していれば、大阪中央署に出します。)

福岡支店でも同じですね。
(例えば、福岡中央労働基準監督署管内
に所在していれば、福岡中央署に出します。)

ですから、『事業の名称』には、一般的には「東京本社」とか、
「大阪支店」とか、「福岡支店」というように場所的単位で
記載することになりますので、御留意ください。

しかし、支店とは名ばかりで、1人や2人しか人がいない
ということもあると思います。

この場合には、著しく小規模で独立性がないと解される
可能性があり、直近上位の組織に人数を含める
ことになります。

つまり、「福岡支店」が著しく小規模であり、その
会社の組織上、直近上位の所属が「大阪支店配下」
となっていれば、大阪支店に労働者の人数を
含めればよいのです。

それで、この場合には、福岡支店で、その所轄の労働基準監督署
に届出をする必要はないということです。

以上の事業場の考え方がまとまってはじめて、
労働者側の過半数代表者が決められることになります!

つまり、各事業場において労働者の過半数の信任を受ける
体制が整うことになるのです。
(この点については、順序により後述することにします。)

今回は、ここまでとなります。

なお、次の記事はこちらとなります。(以下をクリックしてください。)
36協定の適切な作成方法(その2)

よろしくお願い致します!

2 comments

  1. あすくる より:

    とてもわかりやすい説明、ありがとうございます。事業所ごとやまた直近上位の組織など落とし穴になっているところも大変解り易かったです。御礼かねてコメントさせていただきました!

    • 加賀 英治 より:

      あすくる様

      お読みいただき、誠にありがとうございました。

      監督官も実は、事案によっては、事業場の考え方は難しいと感じていると思います。
      しかしながら、ひとついえることは、基本的に一人しかいない営業所のごときものは、
      管理者がいないので、組織とはみなされません。

      つまり、原則として適用単位たる事業場とはみなされないことになります。

      2人以上については、場合によって難しい判断になりますが、
      原則は場所的単位をもって事業場とし、
      事業場として独立性がない理論をどのように成立させて
      いくかというロジックの組み立ての問題となるかと思います。

      もしよろしければ、今後ともご参考ください!

      加賀英治

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