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36協定届の書き方(最終章)…労働者過半数代表者の決め方


読者の皆さま。こんにちは。
労働基準監督署・調査対策対応支援.com」の
加賀英治です。

さて、36協定の作成方法を連載して、8稿目となりました。
いよいよ、最終章となります。

最後は、とても重要な
労働者の過半数代表者の決め方
36協定届への記載方法
について書いていきたいと思います。

今一度、
36協定の意味
おさらいしてみましょう。

36協定とは、法定時間外及び法定休日に労働させられる
ように労働者と使用者(会社)が合意する協定となり
ます。

その協定を9号様式という法律所定の届出様式に
したためて、事業場を所轄する労働基準監督署に
届け出ることが必要だということです。

その効果とは何だったでしょうか?
それは、もともと法定時間を超えて労働させては
ならないという労働基準法違反を免れることができる
というものでしたね。

それで、次の疑問が湧きます。

「労働者と協定って、一人一人と協定を締結するの?

こんな素朴な疑問が湧くのも当然です。

しかしながら、
労働基準法は
そこまで求めてはいません。

実は、労働者の中から、
過半数が賛成した
代表者を選定し、
その者と会社(使用者)が協定すればよいとなっています。

それで、労働者の中からどのように
過半数代表者を選べばよいのか?
ということになります。

そこでまたよくある御意見があります。

「そんなのは、会社が言うことを聞きそうな
労働者を選んで名前を書かせればいいんだよ。

確かにこういう企業は多いと思います。

しかし、このような決め方では、
協定は無効となってしまいます。

つまり、形式は整っていて、かつ、届出もしっかりされて
いても中身がダメなので、協定は無効となりますね。

それで、この状態で法定労働時間を超えて、または、
法定休日に労働させたら、
労働基準法違反
で処罰の対象
になってしまいます。

さらに過重労働で労災事件にでもなったら、
会社のコンプライアンス体制を大きく問われる
ことになります。

ちなみに
労働基準監督署の調査で、
適切に代表者を選出していないことが発覚したら、
協定の再作成と再届出を求められることになります。

ですから、
適切に労働者の過半数代表者を選出する
ことは、極めて重要だと肝に銘じてください。

では、選出方法を御説明いたします。

◆労働者の過半数代表者の選出方法

[母体となる労働者とは?]

まずは、労働者という選出母体は、
どういう人たちで構成されているのか
ということから考えていかなくてはなりません。

よくある質問は、パートやアルバイトは入れなくて
いいの?といったものがあります。

確かに労働者と一口にいってもいろいろな契約形態
があるので、難しく考えてしまいがちです。

しかし、簡単にいうと労働者とは、
その事業場に所属している全ての
労働者ということになります。

つまり、パートもアルバイトも含まれます。
さらに管理監督者も含まれれば、病気欠勤している人、
出張している人、休職している人も
含まれるのです。

(以上、根拠通達:昭46.1.18 45基収6206号等

それで、この選出母体の過半数が賛成して選ばれた人が
代表者になるのです。

しかしながら、休職中などの人が実際に
選出手続に参加するというのは、
現実的ではありません。

逆から考えれば、結果として選出母体の過半数が賛成
していれば良いということなのです。

あとは方法論となります。

[選出方法とは?]

この方法については、施行規則では次の通りに
規定されています。

則6条の2
…労働者の過半数を代表する者は、次の各号の
いずれにも該当する者とする。

1 法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位に
 ある者でないこと。

2 法に規定する協定等をする者を選出することを
 明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続
 により選出された者であること。

このように規定されています。

ここで注意したいのは、管理監督者ですね。
前述のとおり、管理監督者は選出母体の人数には
含めます。

しかし、被選挙権つまり、選ばれる側(代表者)にはなれない
ということを肝に銘じる必要があります。

良くありがちですが、管理職が代表者に選ばれて
しまったということのないように注意してください。

あとは、施行規則の2項にあるように、
具体的な選出方法が問題となります。

つまり、会社が勝手に選んだ人で良いのか?
それとも労働者が自ら選んだ人でなければならないのか?
という問題ですね。

これは、察しの良い方は、大体気付いておられると思いますが、具体的には、
投票、挙手等の方法によって選ばれることが必要
となるわけです。

では、具体的にどのような手続を行う必要があるのでしょうか?

これも通達では次のように謳っています。

労働者の話し合い、持ち回り決議等労働者の過半数が
当該労働者の選任を支持していることが明確になる
民主的な手続きが該当する。

(以上、根拠通達:平11.3.31 基発169号

つまり、少なくとも会社が勝手に選んだ人では
ダメだということです。

ですから、民主的な方法で選出しなければならない
ので、会社が勝手に選ばないようにしてください。

では、いろいろと通達には述べられていますが、
選出の仕方の要点とは、
一体何なのでしょうか?

それは、
労働者という集団が、自ら議論をして選べ。
ということかと思います。

つまり、一般に労働組合が、自らの組織内で
議論したり、また投票などの民主的手段を
用いて、執行代表を選ぶのと同じイメージ
というわけです。

では、労基署対策としては、この点をどのように
押さえておけばよいのでしょうか?

労基署対策としては、もちろん、過半数が賛成
したことを具体的な数(人)により、立証できるようにして
おいた方が良いことは確かです。

ですから、代表者を選んだ人を署名をさせ、
議事録として残しておくなどの方法によって
明確にする方が良いでしょう。

以上のようにして、
労働者の過半数代表者を
決定することになります。

◆36協定は、労働者が何人いた場合に出す必要があるのか?

最後になりますが、
36協定は、労働者が何人以上いるときに出さなければならない
のでしょうか?

という良くある質問にも答えておきたいと思います。

実は、労働者1人でも残業させることが
あり得ると想定しているのであれば、
36協定届の作成・届出は
必要だということです。

この点について混乱してしまう人がいますが、
それは、なぜでしょうか?

なぜなら、就業規則の作成・届出義務が、
常時10人以上の労働者がいる場合で良いということと
結び付けてしまいがちだということです。

ですから、
36協定と就業規則は、人数が違うんだと
いうことを最後に肝に銘じてくださいね。

以上、長くなりましたが、一応、
36協定の作成方法の連載記事は
終わらせていただきます。

また、ニーズに応じて、関連記事をアップして
いきたいと思いますので、これからもよろしく
お願い致します!

過去記事はこちらをご覧ください。
36協定の適切な作成方法(以下、連載記事)
その1その2その3その4その5その6その7

36協定届の適切な作成方法(その1)


こんにちは。「労働基準監督署・調査対策対応支援.com
の加賀英治です。

さて、今回から
36協定届の適切な作成方法
について連載記事で書いていきたいと
思います。(全8記事

よろしくお付き合いください。

●36協定とは?

まず、経営者の方々には、次のようなお言葉を
発せられる方も多いと思います。

「36協定ってよく聞くけど、残業させられる
っていう協定だよね?」

まさにその通りです。
この点は、恐らく経営者の皆さまにも割と浸透している
のかと思います。

しかし、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届
というものです。

これを所轄の労働基準監督署届け出てはじめて効力が
生じるということになります。

では、どんな効力が生じるのか?
ということかと思います。

まず、労働時間についておさらいしてみたいと
思います。

そもそも法律で労働させられる限度時間って
何時間でしょうか?

労働基準法では、そもそも週40時間1日8時間までしか労働
させられません。(変形労働時間制等を除きます。)
そのことは、御存じかもしれませんね。

それで、それ以上残業させると法律違反で処罰される
ことになるのです。

しかし、当然のことながら業務上の都合により
法律の限度時間以上残業させなければならない事態
というのは多々生じることになるわけです。

それで、法律で企業活動をがんじがらめにしてしまう
ことは、弊害があるので次のようにしたのです。

労使で話し合って協定すれば、もともと処罰されるべき
法律違反ではあるけれども、処罰することは
免除しよう。」

これが、36協定の効力ということになります。
(「免罰効果」といいます。)

それでは、実際に36協定とはどんな書式なのでしょうか?
以下の書式が36協定の書式です。(クリックしてご覧ください。)

36協定届(様式第9号)

意外とあっさりしたものだとお感じでしょうか?

これは正式には様式第9号」というもので、ここに所定の事項を
記載します。

それで、最終的には所轄労働基準監督署に届出てはじめて
効力が生じることになります。

それでは以下、具体的な記入方法をお示ししましょう。
(是非、上記の36協定届の書式を見ながら、以下ご覧ください。)

●36協定届の具体的な記載方法

『事業の種類』

一番左上の欄ですが、ここには、例えば、建設業や製造業などと記載します。

まあ、当たり前といえば当たり前とお考え
かもしれませんね。

実は、この部分は、最近、労働基準法が改正されたことにより、
特に重要な意味を持つようになりました。

ざっくり言えば、業種によっては、法定時間外労働が
月60時間以上になったときに、割増賃金の率×1.5
となってしまうということです。

これは重大な問題となります!

この乗率が適用されるかどうかは、業種に応じた労働者の人数
と資本金に応じて変動してくるので、労働基準監督署は
しっかりチェックしてきます。

まずは、第一関門といったところでしょうか?

(今回の紙面では、詳細まで書けませんので、
次回以降とさせていただきます。)

かといって、嘘を書くわけにはいきませんので、
主たる業種をしっかりと書くようにしましょう。

それでは、右隣の欄に目を移しましょう。

『事業の名称』及び『事業の所在地』

これも特に問題ないと思うかもしれませんが、実は、これが
大いに問題になり得るのです。

これによって影響を受けるのは次の事項です。

労働者の過半数代表者が適正に選出されていない。
よって36協定は無効である。

なんでこんなことになり得るのでしょうか?

これは、36協定を適用させる単位が企業単位なのか?
各事業場(各支店、工場など)単位なのか?
ということが混乱してしまうことにあります。

要するにどちらを単位にするかで、労働者の過半数代表者が
適切に選出されないことがあるわけですね。

それでは、労働基準法の適用単位って何?
という問いから答えなければならなくなるわけです。

労働基準法(36協定)が適用される単位ってなんでしょうか?
これは、企業単位ではなく、事業場単位が原則ということです。

といっても分かりにくいので、以下に例を示して考えてみましょう。

すなわち、東京本社大阪支店福岡支店と3つの事業場
がある場合には、原則としてそれらの一つずつが
適用単位となるということです。

これだけでは分かりづらいと思うので、もっと
突っ込んでみます。

もし企業単位ということであれば、本社所轄の
労働基準監督署に届出をすれば済むのですが、
事業場単位なので、それではだめだということです。

例えば東京本社が港区に所在していれば、三田労働基準
監督署に36協定を本社分として出します。

大阪支店でも所轄労働基準監督署に一通出します。
(例えば、大阪中央労働基準監督署管内
に所在していれば、大阪中央署に出します。)

福岡支店でも同じですね。
(例えば、福岡中央労働基準監督署管内
に所在していれば、福岡中央署に出します。)

ですから、『事業の名称』には、一般的には「東京本社」とか、
「大阪支店」とか、「福岡支店」というように場所的単位で
記載することになりますので、御留意ください。

しかし、支店とは名ばかりで、1人や2人しか人がいない
ということもあると思います。

この場合には、著しく小規模で独立性がないと解される
可能性があり、直近上位の組織に人数を含める
ことになります。

つまり、「福岡支店」が著しく小規模であり、その
会社の組織上、直近上位の所属が「大阪支店配下」
となっていれば、大阪支店に労働者の人数を
含めればよいのです。

それで、この場合には、福岡支店で、その所轄の労働基準監督署
に届出をする必要はないということです。

以上の事業場の考え方がまとまってはじめて、
労働者側の過半数代表者が決められることになります!

つまり、各事業場において労働者の過半数の信任を受ける
体制が整うことになるのです。
(この点については、順序により後述することにします。)

今回は、ここまでとなります。

なお、次の記事はこちらとなります。(以下をクリックしてください。)
36協定の適切な作成方法(その2)

よろしくお願い致します!